滝神社へ至る参道は本当に厳しい坂だった。
辛うじてメンバーについて上れたが、ここで随分と到着がばらけた。
境内ではメンバーが着くのを待ちながら自転車談義で盛り上がって
いたが、ここが終着点ではないために、残念ながら他のメンバーが
到着する前に3番目の高賀神社に向かうこととなった。
10時過ぎ、高賀神社へ向け出発。
上りに比べ下りの快走。これがあるから坂はやめられない。
県道に出るまではとても気持ちいい走りが出来た。
県道に出てからも、メンバーの走りの引率でこれまでの単独とは
違う快調な走りだ。
板取川に沿って走る県道81号から洞戸で高富からの国道256号へ
合流。
道幅も広くなり舗装された道を隊列をなして板取川に沿ってさらに
上流へと走る。
7月にこの道を単独で走ったときにはちょっとの坂道でスローダウンし、
ちんたらした走りとなり、また川原で楽しむキャンパーたちのバーベキュー
の焼肉の匂いに羨ましく思いながら走ったものだったが、もうこの時期
にはそんな匂いも漂わない。
ただただ快調に高賀神社へと向かうだけだった。
高賀神社の看板が見え、板取川に掛かる橋を渡り、いよいよ目的地
へと近づく。
大きな石の幸世大鳥居をくぐり、参道の道を走る。
途中、あの高橋尚子で一躍有名になった高賀森水の水汲み場に寄る。
ただし、ここでは誰も水を汲みに行くことなく素通りとなった。
しかし、何てことだろう。
メンバーの走りについていけたのは、ここまでだった。
緩い坂が続いているように思えたが、次第に坂が急になりだし、みるみる
うちに引き離されてゆく。
思うように漕げない。シフトダウンすればするほど、スピードは落ちていく。
いや、シフトダウンしなければ上れない。そして、シフトダウンによって
スピードは落ちていく。
前を見ればメンバーの姿はない。目の前には急坂とその先の鳥居と
高賀神社の本殿の周囲の杉林が見えるだけだ。
バーエンドを握り締め、急坂をただただジグザグに上る。と、そこには
すでに到着してメンバー4人の方が暖かく迎えてくれた。
こういう出迎えも単独では味わえないものだ。クラブランならではの
素晴らしいところだろう。
滝神社から18.6キロ、1時間5分、11時10分ごろ高賀神社に辿り着いた。
まだ他のメンバーが上ってくるために、その間、本殿に参拝し、駐車場で
メンバー達と談笑しながら行動食を口にした。
しかし、ここへ辿り着くまでに何だか全エネルギーを使い果たしたような
思いだ。やっと半分だというのに、、、、
この先にはタラガ谷越えの林道と3つの神社が残っている。
付いていけるんだろうか。不安一杯だ。
休憩している間にメンバー達も到着。
まだ残り半分あるということで、11時半過ぎ、いよいよタガラ谷越えに向けて
出発した。
ただし、この高賀神社でUターン組とフルコース組に別れた。
自分にとっては今回は、六社を巡ることよりもタラガ谷越えの林道を走る
ことにメインをおいてだけにフルコース組について走っていった。
が、そんな甘いものではなかった。
高賀神社を出発し、国道256号に入り、板取川に沿って上流に走る。
が、洞戸から板取に入った頃にはとてもついて行けない。アップダウンが
続き、どんどん離される。目の前で見ていた背中があっという間に消えていく。
遠く目をやってもその姿さえもう見ることが出来なくなっていった。
ギアをシフトアップしたり、ダウンしたり、道路状況によって変えるものの、
脚力のなさかスピードはどんどん落ちてゆくばかりだ。
タラガ谷越え、、、、
もうタラガ谷越えじゃなく、タラガ谷トンネルしか思い浮かばなくなっていた。
(板取)老洞
この看板が目に入った、
タラガ谷越えの入り口。が、ペダルはこの先のトンネルへ向けひた走っていた。
またしても、林道越えを走ることが出来なかった。
12時、タラガ谷トンネル口に辿り着いた。
自宅から出発してすでに80キロを越えていた。
他のメンバー達はタラガ谷越えを走っていったが、一人ランドナー乗りの
コジマさんがトンネル口で待機していてくれた。安堵の一瞬だった。
ただし、コジマさんはタラガ谷越えを走ってくるメンバーをトンネル出口で待つ
ということでここで別れることとなった。
残念だけど、ここからはいつもの単独行となった。